新型コロナウイルスは外来種みたい!?
新型コロナウイルスは外来種みたい!?
新型コロナウイルス感染症が世界中に広がり猛威を振るっておりますが、
小笠原村においては、
現在、感染の疑いがある方は確認できておりません。
しかし、東京都内での感染者が急激に増加しており、小笠原村への侵入が懸念されております。
小笠原村には新型コロナウイルス感染症であると確定できる体制(検査キットすらない)がなく、
感染の疑いがある方に対する処置にも制限があり、
救急患者の本土への搬送も困難を極める状況にあります。
もし、島内にウイルスが入ってしまえば、
集団感染も危惧され、助けられない方が出てくるでしょう。
そこで、
小笠原村観光協会としても『ご来島自粛のお願い』をさせていただきました。
さらに、安倍首相からも緊急事態宣言が出されたことにより、
東京都知事は都民に対し「緊急事態措置」を発表する運びとなりました。
父島に新型コロナウイルスを侵入させないことが、
何よりも優先しなければならないことです。
さて、このように書いていると、まるで外来種対策のように感じてきました。
「海洋島」として大変ユニークな生態系を持つ小笠原諸島。
しかし、永い間隔離されて出来たその自然は、
外部からの影響で簡単に壊れる可能性があるため、「ガラスの生態系」とも言われます。
小笠原は自然も住む人もまったく一緒ということですね。
そもそも外来種という定義は
人為的に他の地域から入ってきた生物のことを言います。
生物なんです!
では、ウイルスは生物か?
じつは今の生物学では微妙な位置づけです。
教科書通りにいえば、
ウイルスは、「細胞」という構造を持たないため生物学では生物とされていません。
細胞は、
増殖や代謝といった生物の基本的な性質を支える非常に重要な役割を果たしています。
細胞を持っているか持っていないかで、「生物」としての境界線を引いています。
一方のウイルスは、
その細胞から遺伝子が飛び出し、キャプシドというタンパク質からなる殻を被って、
一人で放浪しているような存在です。
細胞構造を持たないという理由でウイルスを生物に含めない、と定義づけすることは出来るのですが、
実は最近の技術の発展により、新しいウイルスがたくさん発見されています。
なかには、そこらにいる細菌とさほど変わらない数の遺伝子を持つようになるまで複雑化し、
変化するウイルスもあるということがわかりました。
「単なる物質」と見なすことは、もう難しいと言わざるを得ないでしょう。
これからさらに技術が発展すると、
将来、生物の定義が変わっているかもしれませんね。
では、仮にウイルスも生物だとすると、
知らず知らずのうちに人に寄生しているような感じでしょうか!?
ウイルスも繁栄のためジワジワと人という移動手段を使い、世界中の人の体内や物に棲みつき、
機会を窺っているとしたら。
いま行われている小笠原での外来種対策を実際に行っている身としては、
一度入り込んでしまった外来種をゼロにすることは、極めて難しいです。
低密度にすることは時間・お金・労力をかければ可能ですが、
それでもゼロと言い切るまでにはかなりの時間がかかっています。
今回の外来種は人間の目だけでは確認が出来ません。
時間がかかればかかるほど、大切な命が減っていきます。
正直、ネイチャーガイドとして接客業を行っているソルマルは、
お客様が来ないという状況は極めて厳しいです。
しかも、いつ終息するのかわからない。
ツアースケジュール帳は5月下旬まで真っ白です。不安でしかありません。
それでも子供の笑顔を見ていると、これが一番の対策だったと考えています。
おかげで、家族の大切さを感じる時間が増え、
だれとも会わずに山や海に籠ることが出来ます。
いまはガイド業という生業は自粛し、
日々変化する小笠原の自然を肌で感じ、
自粛が解けた際に、多くのお客様にフレッシュな今の小笠原をご紹介できるよう、
準備をしておきたいと思います。
最後に…
本土にお住まいの皆様は大変な生活になっていると感じています。
『不要不急な外出は避けてください!』
難しいですよね…
子供たちが家の中にずっといることのストレス(大人も子供も含めて)は計り知れない。
人に接しない、人が触れたものに触れない、いや~難しい。
仕事のために外出しなければならない、
その方も含めて家族みんなの感染リスクが高くなる。
感染した方の対応をされている医療従事者、ケアをしている家族の皆様のことを考えると
もう頭があがりません。
おがさわら丸は今日父島に入港です。
おがさわら丸を動かすため・荷物を届けるために働いている多くの方たちには、
感謝しかありません。
全人類共通の敵になったやっかいな侵略的外来種が
早く終息してくれることを願っています。
そのために自分に何が出来るのか考えながら、1日1日を行動していきたいと思います。